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古市が誘っていざベッドイン!みたいな状況。








こころゆらゆら

オレの覚悟は非常に軟弱なもので、秋の天気よりも移ろいやすい。昨今の政権よりも簡単に揺らぐ。我ながら情けないと思うけれど、揺らぐものは揺らぐのだ。
ここまで来といてなんだけど、男鹿、やっぱオレ無理だわ。これからって時に水を差すようで申し訳ないが、怖いもんは怖いんだ。
「ちょ、男鹿、ストップ」
「へ? 何?」
盛り上がってる時は全然気にならないんだが、まともに我に返ると、薄暗い部屋で二人でああだのこうだのしている体勢というのはなんだか間抜けというか妙に滑稽な光景で萎える。
一方の男鹿はやる気満々すでに臨戦態勢。さあ、そいつに何と言おうか。
まさか、やめよう、とは言いにくい。かといって、良い言い回しも特に浮かばない。迷っていると、先を越された。
「古市。やっぱナシ、とか言うのはナシだかんな」
普段やたら鈍いくせに、男鹿はどうしてこう、こういう時だけ聡いのか。ありがたいような、恨めしいような。
「や、ちょっと待て、人の話を聞け」
「何だよ。ナシって以外なら聞いてやるよ」
「………」
オレは珍しく男鹿に反論できない。ああ、どうしようか。
「だから……あの、心の準備が整わないっつーか……」
「だから?」
男鹿は揺らがない。
だからもうちょい待って欲しい、というのは聞き入れられなかった。
「うわわ! おい、待てよ! 怖いんだっつーの!」
「大丈夫だって。オレにまかせとけ」
男鹿はやけに自信満々だ。その自信は一体どこから湧いてくるんだ。
何がどう大丈夫? 根拠は?
お前に任せてロクなことにならないのは、多分オレが一番よく知ってるぜ。
「や・め・ろ!」
渾身の力で足を蹴り上げたら、見事にヒットしてしまった。
正直、そこまでするつもりはなかったんだが……。
「ってぇな! 何しやがるアホ市!」
「アホ市って言うな、馬鹿男鹿」
「今さらやめられっかよ」
男鹿の目つきが急に鋭くなる。あ、そういえば、こいつは攻撃するとボルテージ上がるタイプなのをすっかり忘れていた。
あれ? オレ、もしかしてピンチ?

end

続かないよ