「ま、待てっ、男鹿!」
「いんや、待たねー。お前そればっかじゃねーか。オレはずっと待ってたっつーの」
「そりゃそうかもしれんけど……!」
「ベル坊なら大丈夫だって。絶対起きない。今日昼寝させてないから、ぐっすりだぜ?」
「そういう問題ではなくだな……」
「じゃあ、どういう問題だよ」
「や、オレの覚悟が定まらないというか」
「そんなもん、いくら考えたって無駄だ。いつまでたったも出来ねーよ。出来る頃にはじーさんになるね」
「んなわけあるか! あ、ちょ……っ、本気!?」
「本気、本気。本気と書いてマジと読む」
「冗談じゃねーって……ちょ、男鹿! マジでやめろ、馬鹿! 頼むから離せってば……!」
「離さん」
「マジで? マジなの!? 力づく!? それってどうなの!?」
「勝てば官軍って言うだろ」
「違げーわ! この場合はもれなく犯罪だ!」
「まあまあ、そう言うなよ。ちょっと強引なだけだ」
「ちょっと!? どこが!」
「あんま騒ぐとベル坊起きちまうぞ」
「脅しかよ! 卑怯だぞテメー!」
end